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鍛冶屋さん訪問5〜伝統工芸士の技が冴える【青木刃物製作所】

  和包丁「堺孝行」の特上・青二鋼等を作る伝統工芸士、土井敬次郎さんと小田幸徳さんを訪ねて、青木刃物製作所三宝工場へ行ってきました。

伝統工芸士さんと言ってもいろいろあるのですが、堺の場合分業体制になっていますので鍛冶屋さんと刃付け屋さんが、分かれています。

土井敬次郎さんは、鍛冶部門の伝統工芸士、
小田幸徳さんは、研ぎ師の伝統工芸士です。

どちらもこの道50年のベテラン、高い技術と経験を誇ります。

伝統工芸士
鍛冶「土井敬次郎」氏



昭和2年生まれ。

堺でも名工と謳われた父親の後を継いで19歳からこの道へ。
永年の修行を積み1987年通産大臣指定の鍛冶職の伝統工芸士に認定される。

さらに平成9年春の叙勲で青色桐葉賞を受賞、現在に至る。

なんとも、頑固そうな目が光る、いかにも職人と言う風貌の土井敬次郎氏。
造っていて気に入らなければ、焼き入れ後でも平気で捨ててしまう、こだわりの鍛冶士です。


火造り

 
まず、地金(軟鉄)を炉で赤め、ハンマーで叩いて締めます。
熱した地金に、鍛接材を付け適当な大きさに切断した刃金(鋼)をおき、炉の中で熱します。
このときの温度は750〜900℃ぐらいで、高くすると鍛接しやすいのですが、鋼がもろくなり切れが悪くなります。
なるべく低い温度で鍛接するのが腕の見せ所です。
熱した、材料をハンマーで叩いて、接合、その後また、炉で赤めてベルトハンマーで叩くと言う行為を丁寧に何度も繰り返して、包丁の形に作っています。
だんだん包丁の形を作っていき、包丁1丁分をタガネで切断します。その後再度炉で赤め、柄の部分を加工します。

柄に入る中子の部分を作り、全体の形を整えて、火造りの終わりです。
この後、わらの中でゆっくり熱をとったあと、表面に覆われた酸化皮膜をハンマーで叩いて取ります。
酸化皮膜を取り除いた包丁をベルトハンマーで粗たたきし、グラインダーで裏を磨いたあと、型断ちをし、成形、刻印を入れて焼き入れします。
1丁の包丁を作るのに、ものすごい時間と手間がかかっています。

「作っていって、気に入らんかったら全部捨ててしまうんや」とおっしゃってた、土井さん。
工場横のドラム缶には、型断ちした、端材と一緒に、ほぼ包丁の形になったものがいくつも捨てられていました。

思わず「もったいなー」と思ってしまいましたが、納得のいかない製品は絶対に世に出さない、と言う頑固な職人気質を目の当たりに出来た瞬間でもありました。

この姿勢こそが信用、職人としての評価につながってくるのですね。

伝統工芸士
研ぎ師「小田幸徳」氏



昭和9年生まれ。
堺刃物協同組合理事長

堺を代表する研ぎ師。
伝統の技本物の「かすみ研ぎ」 を継承する、数少ない昔気質の職人さんです。
年季の入った構えで、しっかりと研ぎ上げていきます。
丁寧に研がれた包丁は、後々使う側にとっても研ぎやすく、使いやすい包丁になります。

友人と話をするように、包丁と対話しながら、研いでいくと言うお仕事ぶり。

何度も何度もひずみなどを点検しながら、丁寧に、丁寧に、仕上げるその包丁は
本当に美しい輝きを放ちます。


柔和な笑顔の、本当に人間的にもすごく魅力のある方でした。

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