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鍛冶屋さん訪問4〜こだわりの越後鍛冶「日野浦刃物工房」1

日野浦 司

1956年生まれ
刀匠岩崎重義氏に師事、越後「味方屋(あじかたや)」三代目であり、「司作」シリーズとしてハイクオリティなオリジナルの刃物を作り続けている。

軟鉄などの母材を赤めて、鋼を付ける古来よりの鋼付けにこだわり、少しでも良い物を、使いやすい物を作ろうと日々努力、研鑽に励む鍛冶職人。

そのたぐいまれな技術、理論が専門家に高く評価され、本当に使える、素晴らしくよく切れ、気品漂う刃物は、全国から別注品、特注品の製作依頼が来る。

関刃物まつりにて
鉄・鋼・刃物造りについて理論的に、情熱的に語る日野浦さん。時には「まだまだです」と照れたようなところがまた魅力的でした。

代表作:錬鉄剣鉈


「ナイフマガジン」2002年10月号で、大々的に特集され大変有名になった、新潟県三条の鍛冶、日野浦司(ひのうらつかさ)さん。

それ以前から、知る人ぞ知ると言いますか、「ものすごく良い物を作る」事で業界では知られておりました。

ただ、店主自体、お会いしたことがないこと、問屋さんなどに言っても、なかなか作品が手に入らない、値段的にも結構高い(^^ゞ…ことなどで、正直販売はあきらめておりました。

ところが 幸いな事に10月の「関刃物まつり」でお会いすることが出来、親しくお話しさせて頂くうち、その刃物造りにかける並々ならぬ情熱に感動。
「ぜひ作品をネットで販売させて下さい」とお願いしましたところ、快く承諾して頂けました。

販売する以上は、ただ電話して商品を送って貰って売るだけ、ってのはいやなので、それならぜひ一度お伺いして、お仕事を見せて頂き、またいろいろお話を聞かせて頂きたい、と工房を訪問してきました。

今回は、その模様を旅日記風にレポート致します(^^)


11月12日午後11時26分、大阪発の夜行で
一路、新潟県東三条駅へと向かいました。

初めての夜行列車
中はこんな感じで結構寝れます。

通路は狭くてすれ違うのがやっと。
両方に寝台が並びます。
 
8時前に、東三条駅到着、朝食を済ませ、9時に工房へおじゃま致しました。
早速、「司作」シリーズ、「味方屋作」シリーズを見ながら、 鍛造や、冶金のこと、鍛冶屋になるまでの経歴などお伺い致しました。
鍛冶屋になるまでは、厨房用品の会社に勤められてたと言うことで、関西にしばらく住んだこともあり店主の地元神戸や明石のデパートやスーパーなども随分回られたという風なお話も伺いました。

その後、鍛冶屋としての仕事を継ぐにあたり、関、武生、堺、三木、土佐などを回ってそれぞれの特徴、いいと言われる物を持って帰って顕微鏡や硬度計などで分析研究してきたと言うことです。

そして、機械で型抜きしたり、ローラーで鍛造するのと、丹念に鎚で叩いてしめる事による違いを見つけていった。
また、大学の研究所や工業試験所などで炉を作り、鋼付けの時の温度による違い、焼き入れの温度による違いなどを全てデーター化、より確実に良い物を作る努力を惜しまず仕事されています。
 
日野浦さんのこだわりは、なんと言っても鋼付けから全て自分でこなすこと。

それまで、口伝や書物などで伝えられてきたこと、冶金学で言われているいろんなことを、ご自身で実践、研究、立証することにより、用途に合わせて鉄と鋼の持ち味を最大限に引き出した刃物を作り出す。

それには、鋼付けから、成形、焼き入れの温度管理まで徹底的にこだわって自分でやる。
それが日野浦さんの作品造りの姿勢です。

これは、関東の業者から依頼を受けて、現在製作中の特注刃物。丸太の皮を削る刃物に、似ていますが、マグロ用です。
今までこれを作っていた鍛冶屋さんが廃業してしまい、日野浦さんのところに依頼が来たと言うことです。
アールが付いていて裏にセンが入った独特の形をしており、利器材を使ってなら作ってくれる鍛冶屋さんはいるけど、それではお客さんが納得しない、鋼付けからきっちりやったものでないとダメだと言うことで、日野浦さんぐらいしか出来る人がおらず注文となったとのことです。

こんな風に、いろんなところから、いろいろ変わった刃物の特別注文が入るらしいです。
他にも、細身の切出ナイフを見せて頂きました。
これは ある筆作りの伝統工芸士の家が火事に遭い、その焼け跡から先代が愛用していた切出ナイフが出てきた。
で、 それと同じ物を作ってくれと言われて作っているということでした。

カスタムメイドの「司作」ではない、普及品の「味方屋作」銘の鉈。
これらも、全て軟鉄に鋼付けから日野浦さんの手により作られ、しっかり焼きが入っているか硬度計で測られ、テストされています。
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